福島第一原発の事故について

最終更新日 2024年11月19日 by daisyw

東北地方を襲った太平洋沖地震。
その際、福島第一原発はただちにその運転を止めたものの、津波によりすべての電源を失い原子炉を十分に冷却する能力を失い燃料が溶融しました。
その結果、放射性物質を閉じ込めきることができなくなった事実をご存じの方も多いことでしょう。
一方で、その事故の詳細を自らの言葉で語れるほど詳しく知っている。
そのような方は少数なのではないでしょうか。

東北地方太平洋沖地震で大きな事故を起こした福島第一原発

このような悲惨な事故の再発を防ぐためには、多くの人が当事者意識をもってこの事故の詳細を知り、その危険性を次の世代に伝えていくことも重要なことと言えます。
そんな東北地方太平洋沖地震で大きな事故を起こした福島第一原発は、福島県太平洋沿岸のほぼ中央、双葉郡大熊町と双葉町にまたがる形で位置しています。
そして、敷地の広さとしては約350万平方メートルで、大熊町に1から4号機、双葉町にから6号機と、全部で6機の沸騰水型炉、いわゆるBWRが設置された発電所でした。
そのような中、2011年3月11日岩手県沖から茨城県沖の広い範囲を震源域とし日本の観測史上最大のマグニチュード9.0の北地方太平洋沖地震が発生。
実際に福島第一原発でも震度6を観測したため、6炉ある原子炉のうち運転中状態にあった1から3号機はすべて自動停止され、ここまでの動きは想定通りのものでした。

原子力発電所の安全を確保するために必要なこと

ただ、原子力発電所の安全を確保するために必要なことは、単に原子炉の運動を停止させることだけではない点には注意が必要です。
一般的な機械と違い化学反応を利用した原子力発電においては、その反応にあたる核分裂連鎖反応を止めたうえで原子炉を冷やし、さらに危険物質である放射性物質を完全に閉じ込めることができて初めて安全を確保できたと言えます。
そして、東北地方太平洋沖地震に際しても原子炉の自動停止によって止める部分と冷やす機能は順調に進んでいくはずでした。
なお、この際4から6号機は定期検査のために運転はされておらず、4号機に関しては燃料自体も使用済み燃料プールに移動した状態で、炉内に燃料が装荷されてさえいない状態であったことが後の報告でわかっています。
また、発電所が地震によって直接受けた被害としては、受電設備の損傷や送電鉄塔が倒壊。
地震発生地点から外部からの送電は一切受けられなくなっていました。
そしてここにさらに想定外の高さの津波が襲来。
これが、福島第一原発の歴史に残る事故につながりました。

原子炉内の電源盤の大半が浸水する被害を受ける

なお、そもそも本原発では想定される津波の最高数位を6.1mと見積もっていましたが、実際に襲来したのはその値を大幅に超える約13m、浸水した高さとしては約15mという大津波に襲われた結果として、原子炉建屋やタービン建屋が浸水。
これによって原子炉内の電源盤の大半が浸水する被害を受けます。
また、1から5号機に関しては地震だけでは失われることのなかった非常用ディーゼル発電機までもが停止する事態が発生し、最終的に全交流電源を失うことになりました。
さらに、1、2、4号機では直流電源も合わせて失われていたことが後の調査で判明しています。
その結果は言わずともわかる通り、冷却機能のすべてが停止する事態が発生。
冷やす機能は完全に停止してしまいました。
さらに、冷却用の冠水ポンプまでもが冠水し、原子炉内部の熱を海水へ逃がす除熱機能も失わることとなり、原子炉の安全を確保するうえで欠かせない「冷やす」という機能が福島第一原発から失われる状況になりました。

水素爆発が起きた1、3号機は原子炉建屋自体が大きく破損

その結果、地震発生時運転状態にあった冷却が必要な1から3号機の炉内に冷却用の水を送り込めなくなり水位が低下。
燃料棒が露出し、やがて燃料を覆う金属が高温となり原子炉内の水蒸気と化学反応により水素が大量発生しました。
しかもその後も原子炉を冷却することができない状態は続き、最終的には燃料が溶融。
また、原子炉を覆っていた格納容器のシール材がそのような高温状態にさらされた結果として劣化し、その際に発生した水素が原子炉建屋内に蓄積し、これを原因とした水素爆発が起きた1、3号機は原子炉建屋自体が大きく破損してしまいました。
さらに、最悪の事態は重なります。
定期検査中で冷却不要の状態であったはずの4号機の原子炉建屋も、3号機から水素が流入した結果として爆発が起こり、大きく破損することとなりました。
その結果、安全確保に欠かせない「閉じ込める」機能も完全に失われた結果、大気中に多くの放射能が放出される最悪の事態となりました。
そのような大事故を引き起こした福島第一原発では、溶けて固まってしまった燃料を取り出し、原子炉建屋の内部の配管や容器などを解体撤去する廃止措置に向けた作業が進められています。

まとめ

ただし、その作業が完了するのに要すると言われている時間は数十年という長さです。
世界中の最先端の技術や知識を結集し、安全性を最優先した中でできるだけはやく放射性物質の危険性から人と環境を守ることが求められ続けています。

 

関連記事
アトックス コロナ